隣のアイドル

そやねん

こんな世界があるなんて知りたくなかったーーIZ*ONE『Vampire』での絶望

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私自身が長い間、そのようなアイドル界隈を近寄りがたい世界として認識しつつ、遠くのほうから無関心な眼差しを送っている世間のひとりでした。 そんな自分の横っ面をひっぱたき、アイドルだって音楽とパフォーマンスで世間一般に対して訴えていける存在なんだと気付かせたのがKPopにおけるアイドルでした。その衝撃は素人の自分にブログまで始めさせた。

歌われてはならない鎮魂歌。IZONE「Vampire」 - 猫から見たK-POP

以前よりいちファンとして拝読していたブログの上記記事が、これまでIZ*ONEの日本オリジナル曲で感じていた違和感についてとても分かりやすくまとめてくれていたように思い、自分でもつらつらと書いてみようと思います。

筆者はそもそも15年以上前から日本アイドルのオタク(一時期KARAにも手を出していました)として生息しているのですが、いわゆるAKBグループに関しては距離を置いている人間でした。というのも、やはり楽曲に関してのチープさやパフォーマンスにおける未成熟さがどうしても気になってしまうから。移動中に曲だけを楽しむには物足りない、じゃぁステージと一緒に……と思ってもパフォーマンスでは拙さが何年経っても改善されずあわよくば「一生懸命」だけで片付けられてしまう。成長を見守ってくださいと言われても、いつまで見守りモードでいればいいのか? と。一方で、パフォーマンスが未熟でも曲に対し製作者側の一定の意図やこだわりが感じられる場合はそういうパッケージとして受け止められる面もあります。メンバーのビジュアルやパフォーマンスが見えなかったとしても音楽として愛せるかどうかが、自分にとっては「ファンになる」には重要な要素であるように感じています(あくまで自分はアイドルグループにおける接触や認知というものに興味が持てないだけで、それ自体を否定しているわけではないです)。そして、楽曲の価値をより高める要素として、ステージやMVなどでのパフォーマンスがあるように感じています。また、AKBグループを完全に敵視していたわけではありません。特にHKT48に関してはシングルタイトル曲においては「見て楽しめる」雰囲気が作られていたように思います。あくまでいち消費者として見ていた限りではありますが、元々ハロプロを敬愛されていた指原莉乃さんの功績は大きかったように思います。

さて、そんなわけでAKBグループから距離を置きつつも日本のアイドルを追いかける以上、耳にしないことはない存在である彼女たちが2018年に参加したPRODUCE48。最初は実績解除のつもりで視聴しておりましたが、いつしかプデュシリーズの麻薬にズブズブになり、気づけばK-POP全体に再び興味を持つようになるまでになりました。そして、番組を通して終盤まで勝ち進んでいった日本側の参加メンバーの活躍については周知の通りです。最終的にデビューが決まった12人はIZ*ONEとして華々しくデビューしました。『COLOR*IZ』『HEART*IZ』共に製作陣の気概が感じられ、彼女たちを輝かせるためのプロデュースがなされているように思います。そしてステージでのパフォーマンスも言わずもがな。これまで距離を置いていたグループ出身の日本人メンバーも、きちんとしたプロデュースと練習環境などが変わればここまで輝けるんだという驚きさえありました。しかし、日本側での彼女たちの楽曲に対しては、思うところが多すぎます。La Vie en RoseやVioletaは音楽プレーヤーの再生リストに入れて聞きたいと思えるのに、好きと言わせたいやブエノスアイレスは、MVを見ながらでも苦しいものがある。日本側の楽曲は、彼女たちのパフォーマンスで救われ、何とか「見れる」ものになっているというものでした。しかし、もしかするとただ好みの違いというだけで、日本ではこういった楽曲でないといけないのでは? という考えもよぎりました。PRODUCEシリーズがきっかけでK-POPの世界に本格的に足を踏み入れた自分の知識がないだけで、これはよくあることなのでは? と。それであれば、まだ話はわかる。K-POPグループが日本でオリジナル曲を出すときは、韓国側の雰囲気などは一旦無視し、もはや別の世界線のアイドルであるように振る舞うことがデフォルトなのか…と当初は思っていました。

ただ、先日SEVENTEENの『Happy Ending』を聞き、やはりIZ*ONEのみがこのような歪の中で生きているのでは……と思わずにはいられませんでした。


[MV]SEVENTEEN - Happy Ending MV

こんな世界があるなんて誰も教えてくれなかったじゃないですか! と叫んでしまいました。こちらは日本オリジナル曲で発売され、後にKorean ver.として最新作のアルバムにも収録されています。本国と同じ世界線で彼らは活動しているように感じました。IZ*ONEも『猫になりたい』や『ご機嫌サヨナラ』がKorean ver.として収録されており、この2曲は比較的私も好んで聞いてますが、あくまで表題は『好きと言わせたい』。彼女たちのことをあまり知らない人たちにとって、日本でのIZ*ONEのイメージは『好きと言わせたい』。韓国プロデュースでの『La Vie en Rose』とはやはり大きな乖離があります。この方向性で日本でも活動することはできなかったのだろうか、と思ってしまいました。


TWICE「HAPPY HAPPY」Music Video


Red Velvet レッドベルベッド '#Cookie Jar' MV


BTS 'Lights' Official MV

その後、他のK-POPグループが日本で発売されるオリジナル楽曲をちょこちょこ調べてみると、やはり本国の色は損なわない活動をしているように感じます。この差はどこで生まれてしまったんだろうか、そう思わずにはいられません。犯人は誰なんだろう、と。彼女たちの世界を日本と韓国で乖離を持たせるのであれば、日本側の音楽にも意味を持たせて欲しい。特典をつけるための投げやりなシングルを出すくらいなら、Japanese ver.を発売するで十分とさえ思ってしまします。これまでの日本シングルのタイトル曲は果たしてどの層をターゲットとしているのでしょうか。少なくともK-POPの世界での彼女たちを好きになった私にとっては「蚊帳の外」であるようにさえ思ってしまいます。こう羨んでしまうくらいなら、他グループのことを知らずにいればよかった……とさえ思ってしまいます。K-POPグループを日本で愛して日本の曲も愛することができる。そんな楽園があるなんて知らずにいればよかった、と。


GOT7 "MY SWAGGER" M/V


PRODUCE 101 JAPAN| UNBackers|レベル分けテスト

先日放送が開始されたPRODUCE101 JAPANで川尻蓮さんたちが歌唱したGOT7 のMY SWAGGERも日本シングル曲とのこと。
(こういった知らなかった曲を発見できて、そのアーティストを好きになれる、というのもプデュシリーズの魅力だと思っています)

そしてIZ*ONEとともに今一番不安視しているのが同事務所所属であるfromis_9のこと。日本デビューをそのうちしそうだな、と思っているのですが、先日事務所でSHOWROOMをしていた岩立沙穂さんの元にチャン・ギュリが登場する……ということがありました。微笑ましいなと思うとともに「なぜギュリがそこにいる?」という風に思ってしまいました。AKSを訪れていたとするならば、日本側のプロデュースとしてIZ*ONEと近しいスタッフが介入するのではないかと。あぁ、怖いです。今回の『Vampire』も、正直もう聞いていてしんどいです。MVの良さのみが唯一の救い。メンバーたちのパフォーマンスとビジュアルと演出で救われるって、音楽としてどうなんだろう……。カップリングのLove Bubbleがとてもいい曲だったので(韓国語が収録されるって珍しいですね)これを表題にしても良かったのではと思ってしまいます(Love Bubbleの作家陣、日本側が用意したのか韓国側が用意したのか気になる)。

#走り書きなので手を入れる可能性あります